2022年5月大洗-苫小牧航路(1)オオトウゾクカモメと黒い大群

2022年5月大洗-苫小牧航路(1)オオトウゾクカモメと黒い大群

5/18-20 個人的には初めての5月の大洗苫小牧航路に行ってきました。

夏羽の海鳥が色々と見られ、渡りの面白い海鳥も出る可能性があるという5月の大苫航路。何が出るのかわからない期待もあり、未知ゆえの不安もありました。

ところが今回の大洗苫小牧航路は、観察種は24種、黒いミズナギドリは数十万規模と思われる群れから始まり、アホウドリ類は片道300羽以上、オオトウゾクカモメも十数羽あらわれ、期待も不安も超越した結果となりました。

<観察種>
キジバト,シロエリオオハム,コアホウドリ(復路174),クロアシアホウドリ(復路124),アホウドリ(10),フルマカモメ,オオミズナギドリ(+),ハイイロミズナギドリ(+++),ハシボソミズナギドリ(++),アカアシミズナギドリ(+),ヒメウ,ウミウ,ミユビシギ,アカエリヒレアシシギ,ハイイロヒレアシシギ(+),ウミネコ,オオセグロカモメ,オオトウゾクカモメ(15+),トウゾクカモメ(3),シロハラトウゾクカモメ(5+),推定クロトウゾクカモメ、ウミスズメ,カンムリウミスズメ,ウトウ

▼5時台から観察を始めると、福島県塩屋崎を少し過ぎたあたりで最初にファインダーに捉えたのがなんとオオトウゾクカモメ。(South Polar Skua)

▼南極での繁殖を終えたオオトウゾクカモメが夏になると本州近海で見られます。しかも複数個体が飛び、1羽は船についてきて、かなり近距離で撮ることができました。「これがこの旅のハイライトかな…」と早くも思ってしまいました。

▼しかしその直後から黒いミズナギドリの大群(クリック推奨)が次々と見え、船がそれをかき分けて進むような状況が始まりました。

▼黒いミズナギドリは、ほとんどがハイイロミズナギドリ、次がハシボソミズナギドリ、時折アカアシミズナギドリという感じで、海域によって割合が変わりました。

▼眼下は常にこのような様子で、それが永遠と続きます。

▼ズームレンズを望遠端で固定していたので群れ全体のワラワラ感が表現できなかったのは残念でしたが、とにかくおびただしい数で、本来なら15時以降の青森から北海道沖で見られる光景が、朝起きたら5時からいきなり始まっていたという状況でした。

▼フレッシュな幼羽のハシボソミズナギドリ。(Short-tailed Shearwater)
本州沖でこのような群れが見られることがあるのだろうかと過去の記録を紐解くと、ハシボソミズナギドリは1999年5月中旬に大船渡沖で31万羽見られたという記述がありました。(参考文献・「東京~釧路航路の30年」 宇山大樹 )

▼ハイイロミズナギドリは、1995年の4月末に金華山沖で23万の群れが見られた記録があります。今回もそれに匹敵する大群だったと思われます。(Sooty Shearwater)

▼換羽中のハイイロミズナギドリ。魚類に詳しい方のお話によると、今年は海水温が低く岸に近い場所に小魚が集まっているとのこと。

▼餌があれば鳥が集まるということで、記録に残る伝説の光景が今に再現されたものと思われます。
たまに混じっているアカアシミズナギドリ。嘴がピンク色な点に注目です。(Flesh-footed Shearwater)