スマトラ探鳥記 Birding in Sumatra(14)スマトラヤイロチョウ

スマトラ探鳥記 Birding in Sumatra(14)スマトラヤイロチョウ

2019年3月にインドネシアのスマトラ島にて探鳥しました。

タパンロードは様々な鳥が生息する素晴らしい探鳥地でもありますが、最大の目的はスマトラ島固有種のスマトラヤイロチョウを見ることです。

バードガイドいわく、クリンチ山のハイドでこれでもかと見られたキタスマトラヤイロチョウよりも、今回のスマトラヤイロチョウはさらにフレンドリーとのこと。この心強い言葉により、今回も飽きるほど見られるだろうと半ば確信し、安心していました。

ところが、朝からタパンロードの脇に点在する沢をスタッフ達が懸命に探してくれるのですが、全く気配がありません。聞くと、最後にガイドが見たのは10日前とのことで、10日も経ったらさすがに同じ所にはいないだろうと諦観ムードが濃くなりました。

▼すると夕方、ガイドたちがにわかに色めき立ち、ついに「出た!来い!」の合図。
一目散に藪を突破して進み、沢の開けた所でスタンバイしました。
写真はその沢の様子です。緑の大きなヒルが出ました。

▼次第に日が暮れて暗くなっていく中、息を殺して待っていると、草むらからスマトラヤイロチョウが登場し、丸太の影を移動して消えていきました。
絶望しかかっていたスマトラヤイロチョウの証拠写真は押さえたものの、もっとちゃんと撮らねばと悔しい思いをしつつ今日のところは終了。とてもフレンドリーとはいえない鳥のようです。

▼翌日は、相変わらず素早いものの何度か出てくれました。次第に動きのパターンがわかり、冷静に撮れるようになりました。
スマトラヤイロチョウは、英名をGraceful Pittaと言い、「優美なヤイロチョウ」という意味になります。

▼確かに他のヤイロチョウの仲間のように多彩な色をまとっているわけではないので、そういう意味では上品で控えめな美しさといえるかもしれません。

▼とはいえ、動くたびに眉と翼の水色の部分がネオンサインのように輝いて、暗い沢の中に夜光虫やホタルのような光のラインを描くさまは、他のヤイロチョウとはまた違う、幻想的で艶やかな感じがしました。

▼ちなみに、オスもメスも外見的には全く同じで区別がつかないそうです。

▼子育ての最中で餌を大量にお持ち帰りするスマトラヤイロチョウの様子を撮影しました。
滞在時間が一瞬のことが多く、まともに動画を撮ることができるチャンスがごくわずかでした。25秒程度の動画です。

 

▼この日、インドネシア固有種のヒメエンビシキチョウも見ることができました。(Sunda Forktail)

▼見つけるのは結構難しいと聞いていたのでラッキー。セグロセキレイのような感じですが、足がピンクで可愛らしいです。

▼今まで2種類のエンビシキチョウを撮ってますがいつも撮影条件が厳しいのは、この仲間がスマトラヤイロチョウが出るような暗い沢にいることが多いため。
今までのはオス。この赤茶の頭のほうがメスです。