記録:涸沼のサバンナシトド

記録:涸沼のサバンナシトド

2020/1/佳日 涸沼でサバンナシトドを観察した時の記録です。

サバンナシトド(Savannah Sparrow)は北米の鳥で、迷鳥として日本にまれに飛来する珍鳥です。
ふと見かけた情報から目星をつけた場所を5日間捜索し続けましたがカシラダカとアオジとホオジロしか見つかりません。
ほぼ諦めていた時、すぐ近くで再び発見されたと耳にし、さらに2日通いました。

▼すると、探していた鳥はいませんが、比較的めずらしいホオアカが登場。

▼知人の方が2016年に埼玉県で観察した時には、サバンナシトドとホオアカとが一緒に行動していた…と仰っていたので、両種は好きな環境が似ていて、もしかしたらこのあたりかもしれないと前向きに考えることにしました。
ホオアカは3~4羽かそれ以上いて、こんなに越冬ホオアカがいる場所は初めて見ました。

▼そしてその翌日。
別の鳥を見た帰りに、性懲りもなく同ポイントを覗きに行くと、逆光の中に1羽でポツンといる鳥が。

▼またホオアカか?と双眼鏡で見ると、黄色い眉斑がはっきりと見え、脳内に電流が走り抜けました。
サ、サバンナ!いたー!!

▼涸沼ではサバンナシトドが1971年3月中下旬に2羽が記録され、茨城支部会報(平成27年No.326)に克明な観察記録文が掲載されており、憧れを抱いていた鳥でした。初見のサバンナシトド、地元で48年ぶりの飛来です。

▼しばらく日光浴をしていたあと、ヒュッと草むらに入ってしまいました。
少し逆光だったとはいえ、長かった捜索活動を終えることができると思い肩の荷が降りました。

▼周辺には夏羽に近づいたコジュリンもいて、そこそこ珍しいホオジロ科の熱いスポットになっていました。(Ochre-rumped Bunting)


▼さらに3日後も早朝に観察できました。
胸は白地に縦斑が明瞭にあり、身近な鳥ではビンズイに近い印象です。

▼嘴は上下ともピンク色で、黄色い眉斑とともにチャームポイントになっていました。

▼これが最後の観察で、野焼きの作業が入ったり、現場に近づかないよう心がけていたこともあったりで、存在を確認できていませんが、出現率・場所などの難易度が高いためほとんど人の集まりは見られませんでした。

▼しかし、涸沼は北米の鳥がたまに出るのが不思議です。大陸伝いに来ると迷い込むのにちょうどいい位置にあるのでしょうか。

▼涸沼の底力を感じるとともに、ホオジロ科を丹念に見る面白さを学んだ日々でした。
第一発見者の方、再発見された方、ご一緒した方々に深謝です。