ミャンマー探検記(3)~幻のクロハラシマヤイロチョウ Gurney's Pitta

ミャンマー探検記(3)~幻のクロハラシマヤイロチョウ Gurney’s Pitta

2019年5月下旬から6月上旬、ミャンマーで探鳥した際の記録です。

村に着いた翌日、朝7時発で目的のクロハラシマヤイロチョウ(Gurney’s Pitta)を見るハイドへ向かいます。
ドキドキ・ワクワクしながら待っていると、ガイドさんから事前に注意喚起されていた特大のヒルが、眼鏡のフレームに突然あらわれ、青ざめます。
ヒル対策として首や手足、顔も布で覆って完全防御していたので、唯一無防備だった目のまわりに来たようです。耳なし芳一のごとし。恐ろしいですね。

さて、肝心のガーニーズ・ピッタですが、想像以上に暗く、遠い場所を”チョンチョン・シュッ”とそれこそ「幻」のように通り過ぎるのが見えただけです。果たして撮影できるのだろうかと不安に陥りました。

▼しかし、夕方もう一度ハイドに入ると、今度は何度も出てきてくれました。クロハラシマヤイロチョウ(Gurney’s Pitta)。

▼世界中でタイでのみ数ペア見られていたものの、一時は絶滅したとも言われた希少なヤイロチョウ。

▼2000年代にミャンマーで数千ペアの生息が確認され、今のところ安定して見られるのはミャンマーだけという状況に。

▼しかし、他の東南アジア諸国同様に環境破壊が進み続けるミャンマーでは、いつまでこの宝石のような姿が見られるかわかりません。

▼ミャンマーでは、鳥の餌付けが厳しく禁止されており、クロハラシマヤイロチョウも例外ではなく、ガイドさんが限られた回数の音声で巧みに呼び出します。
そのため、ヤイロチョウは一箇所で長時間止まることなく縄張りの巡回をしながら通りすぎてしまい、撮影は困難を極めました。

▼翌日の朝は、人数を半分にして交代でハイドに入りました。
どうやらこの場所は2個体のオスの縄張りのボーダー上にあるようで、代わる代わる出てきている感じがしました。

▼一瞬日が当たるところに登場しました。
人生でこの機会を逃したらもう見るチャンスはないというレベルの鳥だったので、とにかく観察・撮影できてホッとしました。

▼ロードサイドに出てきては逃げられてしまった、ズグロヤイロチョウも一瞬ハイドに出てきてくれました。(Hooded Pitta)

▼餌を置いていないのに、しきりに餌を探しているふうのアカハラシキチョウ。(White-rumped Shama)

▼さて、長いようで短かった4日間のテント暮らしもついに終了。
風呂・洗濯でお世話になった川を越えて、村から出る時間になりました。

▼意気揚々とランドクルーザーに乗って村を出たものの、前日の土砂降りでできたぬかるみに車がはまってしまい、1時間半以上も動けなくなってしまいました。結局ガイドさんが村の人々を呼んで手伝ってもらい、脱出することができました。

▼ジャングルからある程度舗装された道に戻ると、ところどころ山の表面が裸出しているのが気になりました。

▼ジャングルを切り拓いて画一的にパームヤシを植えているのです。これが、クロハラシマヤイロチョウなどの熱帯雨林の生き物たちの居場所を奪い続けているプランテーション農業です。道ができて、開発ができるようになると、多様性のある森を捨ててお金になるヤシを植える。
これらの光景は、白い崖の村のすぐ近くまで迫っているように見えます。ガイドさんも「このあいだまで、すぐ道の脇でクロハラシマヤイロチョウが見えたんだけどね」と少し哀しげでした。

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